スワロウテイル

岩井俊二監督の「スワロウテイル」を23年ぶりに観たが、当時流行した日本と中国を始めとする近隣アジア各国との関係をテーマにしたエスニックものとしてはあまりいい作品では無い。長過ぎるストーリーと、日本での成功を夢見る中国人(演じてるのは三上博史を始め、殆どが日本の有名俳優)のアイデンティティーなどの上っ面だけのテイストも気になったが、同時期の「不夜城」と違って「イエンタウン」という東京の片隅にある架空の街が、予算の関係で小さなセット以外印象に残らないのが一番残念だった。それと日本と中国の関係が逆転してしまった今では、本作の制作時も映画人やスポンサーの中に、バブル時代の「世界一の経済大国」への夢が燻ってた事が解った。キャストの中で一番儲け役は渡部篤郎で、この時期は新進の男優として輝いてたと言ってもいい。