ペンタゴン・ペーパーズ

スピルバーグが撮る社会派映画は人物より事件の解決というミステリー的なカタルシスを重視している(「ミュンヘン」は除く)ので、観終わると民主主義は司法の世界にも生きているみたいな爽快感は得られる。世紀のスクープを物にしたワシントン・ポストの記者への呪詛みたいな言葉を電話で言い続けるニクソンの肉声は本物だから、彼の独裁者的な陰湿さはとても好感は持てないし(有能な大統領だったらしいが)、ラストには「大統領の陰謀」へのオマージュみたいなサービスシーンもある。