あの体操漫画は名作だったのか

「空のキャンバス」という漫画を憶えているだろうか。86年ごろに「少年ジャンプ」連載された体操を扱ったスポ根漫画だが、あの「キャプテン翼」や「タッチ」よりも遥かに「スクール・ウォーズ」のノリを受け継いだ王道純愛(殉愛と書いてもいい)路線であり、加えてラブコメ(ヒロインが怪力少女になる時もある)あり、Hネタもありという、サービス過剰の名作と珍作の紙一重的な作品だった。一番噴飯モノなのは、冒頭で主人公が脊髄に重い傷を負う描写で、連載当時もあの時点で賛否が別れたような気がする。今泉伸二の描写は誠実さに溢れていたが、あの丁寧な画作りも80年代的で、今の漫画家だったらもっと余白のあるタッチで描くと思う。