結局金持ちだけが良い思いをする

数日前に観た「追跡!真相ファイル」というドキュメント番組で取り上げていたフィリピンに移住した日本の高齢者の現実は、この国の将来を考えると興味深かった。印象的だったのは現地での介護ビジネスに可能性を感じていた元宝石商の人のコメントで、フィリピンの経済成長を予測しきれなかったらしく、現地の介護スタッフの人件費の高騰に対処しきれなくなり、日本人用介護施設なのに現地の言葉しか話せないスタッフしか雇えなくなったという。東南アジアなら生活費も安くなるという発想自体が古くなりつつある。手塚治虫の「ブッダ」に出て来る沼地のカモのエピソードのように、経済的メリットだけを理由に生まれた土地を離れるのは、日本の健康保険が効かなくなり、医療費が全額自己負担になる現実も含めて、却って多くの財産を失うリスクがありそうだ。