「あさま山荘」とセットで観てもいい題材だが

若松孝二が監督した「三島由紀夫と若者たち」を観たが、前の「あさま山荘への道程」と比べるとインパクトは大分弱い。連合赤軍事件は閉鎖された空間での陰湿な暴力描写が一種のホラー的な迫力に繋がってたので、映画の題材に向いていたと思う。しかしこの三島事件の場合は、比較的大きな予算で三島の誕生から死までを描くか、低予算なら主人公を森田必勝にして描くべきだったと思う。「楯の会」結成から物語が始まる構成ではテレビの歴史検証番組に情報量で負けている。二・二六事件や日本の敗戦、ベトナム戦争全学連なども絡んで来る三島の生涯はインディーズ系の映画作りでは手に余る題材だったと言える。若松監督に向いてるのは(既に映画化されてるが)永山則夫事件の方だった気がする。