ジョーカーの不在

ダークナイト ライジング」を観た。クライマックスのテンポの早い展開と、ラース・アズ・グールとの因縁の復活など、一作目のカラーに戻った印象だ。二作目がバットマン映画として類を見ない程絶賛されたのでプレッシャーも甚大だったと思うが、クリストファー・ノーランはよく健闘したと思う。しかし、やはりベインと真の敵役二人をもってしてもジョーカーには遠く及ばなかった。俳優の演技力の問題では無く、ジョーカーを今は亡きヒース・レジャーが演じた事、それをクリストファー・ノーランが撮影した事が奇跡的な成果に結び付いたと言えるので、「ライジング」はジョーカー及びヒースの不在の大きさを実感する作品だった。高倉健が晩年の黒澤作品に良い物が無いのは、三船敏郎と組まなくなったからだと推測してたらしいが、「ダークナイト ライジング」にもそれが当てはまると思う。