追悼トビー・フーパー

トビー・フーパー監督が「悪魔のいけにえ」を監督した事は、オーソン・ウェルズが「市民ケーン」を監督した事に匹敵する出来事だったと思う。主演女優の真に迫った怯え方、脱出が予測できないほど絶望的な食堂でのキチガイ一家の描写、レザーフェイスが若者を殺すシーンの迫力、そしてまた捕まるのかと思わせるほど緊迫感に満ちた終盤の展開と、明け方に奴がチェーンソーを振り回す完璧なラストカット。これだけ見所が揃った映画はそうそう無い。巨匠クラスの監督では無かったが、永遠に映画史に残る作品を作ってくれた事に感謝したい。