嘘を付かざるを得なかった作品

先日オンデマンドで「ヒューゴの不思議な発明」を観た。時計台や機関車などの特殊効果を用いたシーンは、劇場で観れば3D効果を堪能出来たのは想像が付くが、人に勧めたくなる作品かというと少し考えてしまう。
まずこの作品は「アドベンチャー」と呼んでもいいが「ファンタジー」では無い。予告編では「パリの駅で少年が機械人形で奇蹟を起こす」かのような印象を与えていたが、全くそんな事は無く、奇蹟は起こるのだが、ファンタジー的な類では無い。あくまで実在した最初期の映画人のジョルジュ・メリエスの功績を讃えた物で、映画の魔法を描いた映画である。そして邦題は「ヒューゴの不思議な発明」だが、主人公の少年がした事は修理であって発明では無い。内容的には「ヒューゴの奇蹟の修理」の方が合ってたと思う。しかし本当の見所を教えると一般客はあまり来なかっただろうとは想像が付く。だから嘘を付かざるを得なかった。しかし劇場に足を運んだ一般客はファンタジーを期待して騙され、口コミ効果は激減した。メリエスが魔法使いになれば興行的にはプラスになったかもしれない。ある意味で彼は魔法使いであったのだが。