「釈迦」がキャリアのピークだった人

先ごろ亡くなった本郷功次郎は「大映市川雷蔵勝新太郎に次ぐスターとして売り出そうとしたが、結果的に映画界でのキャリアは築けなかった人」という印象がある(ウィキペディアによると、本人はスターどころか俳優志望ですら無かったらしい)。映画ファンの間では有名な話だが、大映が上映館も無いのに70ミリフィルム(今で言えばIMAX)大作を作るという無謀な計画を発表し、その第一弾が「釈迦」だった。本郷はその主役に抜擢されたのだが、観客と批評家の注目を浴びたのは悪漢(悪役の当時の呼称)ダイバダッタを演じた勝新の方だった。私もWOWOWで観たが、存在感で勝を上回る人がそうそう居ないのに、本郷が超えられる訳が無いという印象だった。この人は数年後に「ガメラ対バルゴン」の主演をやらされ、当初は何処かの旅館に篭るぐらい抵抗したらしいが、テレビに活路を見出して成功したのだから、トータルでは幸せな俳優人生だったと思う。無理やり主演クラスに担ぎ上げられて結局沈んで行く若手俳優は今も量産されているが、剛力も来年は格下げして行くだろう。