おもひでぽろぽろ

高校時代に「いなげや」の中にあった試写室のような映画館で観て以来、27年ぶりの観賞。原作漫画は、宮崎監督が高畑監督に映画を作らせる為に薦めたそうだが、27歳になった主人公のタエ子が農業に夢中になる部分は高畑監督の考えたオリジナルエピソードだそうで、通して観ると過去のパートと現代(制作当時)のパートが密接に絡んでるとは言い難い。高畑監督は制作中に紅花摘みの取材に夢中になってしまったと別サイトの記事で知ったが、それだと原作のエピソードの映像化は宮崎監督の顔を立てただけなのではと思えてしまった。他に齧るキュウリや紅花の足踏みや、農家から見る夕焼けなど、意識的に「トトロ」から引用してる所も興味深く、高畑監督の後輩への敬意かと思った。
後半の貧しい転校生のエピソードは「赤毛のアン」を手掛けた高畑監督らしい繊細な演出だったが、此処だけどうにか原作とオリジナルの絡み合いが上手く行ってるように見えた。それでも最後に、小学生のタエ子が同級生たちと27歳の自分を励ますシーンなど、一見感動的でも作品全体に感じた「無理」は払拭出来ないまま映画は終わり、技術的には凄いけど成功作とは思えなかった。あとアニメで皺をリアルに描くと少女もおばさんになってしまうので、こちらは大失敗。