映画が商業性を否定していいのか

WOWOWで定期的に放送されているカンヌやアカデミーで賞を獲得した短編の実写とアニメを時々観てるが、カンヌの方はかなりつまらない物が多い。酷いのになるとオチが無い作品もあるのだ。
ここ十数年のカンヌ受賞作は長編にしろ短編にしろ、商業性を一切考慮に入れない退屈な作品ばかりが持て囃され、「ライフ・イズ・ビューティフル」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「戦場のピアニスト」など、カンヌを賑わした後に日本で大ヒットするという批評と興行の相乗効果がかなり薄れて来てしまっている。ベネチアやベルリンなど他の映画祭も似たような状況で、海外の映画のヒット作はアメリカ映画ばかり。ミニシアターブームは滅亡寸前だ。
こうなった理由の一つが、カンヌに代表される審査基準の閉鎖性だ。評論家や映画人は観客に媚びてない、商業性を排除したような作品と作家を歓迎し、高く評価する。しかも最近の監督はロベール・ブレッソンアンゲロプロスに影響された監督が多いのか、俳優の演技をカットを割らずに延々と写す作品が多く、かつてのフェリーニタルコフスキーのような映像のパワーを重視する監督はあまり出て来ていない。観客に媚びろと言ってるのでは無く、映画を閉ざされた芸術にするなと言いたい。少なくとも私はミヒャエル・ハネケの作品は全く支持しない。と言いつつ「フィフス・エレメント」以降のリュック・ベッソンにも興味は無いが(「96時間」はお勧め)。