偽善者だった主人公

あらいぐまラスカル」の第1話を観た。もう色んな人が指摘してると思うが、主人公スターリングの行動が理解できない。釣りに出掛けたスターリングたちに付いて来た犬が木の下の何かを掘り起こそうとして、彼も手伝うと中からアライグマが出て来て木の枝に飛び移り威嚇し続ける。木の下は巣穴になってて、そこから赤ちゃんアライグマが出て来る。するとそれを見た動物好きのスターリングは、アライグマ親子を連れ帰って飼うと言い出すのだ。
野生の大人のアライグマを無傷で連れて帰れる訳ないし、普通ならあきらめて釣りに向かう所だが、彼は木に登ってまで母親を捕まえようとする。のちにラスカルになる子供とスターリングとの出会いを描かなければならないのは解るが、それならなぜ先に猟師に母親を撃ち殺させなかったのか。本編ではこのあとに猟師が出て来るが、スターリングは彼に「生け捕りにしたいから撃たないで」などと頼む。そして猟師が木の上の母親を撃ち殺し、近寄って来た子供をつまむと、「こいつは帽子にも出来ないからお前たちにやる」と言ってスターリングに投げて寄こす。猟師を嫌な大人として描いてる訳だが、主人公が巣穴を掘り起こさなければ猟師に見付かる事は無かったので、名作劇場ファンの中でスターリングを嫌う人が居るのが良く解った。彼に限らず名作劇場の動物好きの主人公は、優しい心を強調する余り親の迷惑を顧みない馬鹿に見える事が多いが、本作はその先駆けだったようだ。