ラスカル雑感

あらいぐまラスカル」の極端な動物愛護精神に耐えられなくなり、結局23話でリタイア。
作中で嫌な人として描かれる動物嫌いの大人の事情が解る今初めて観ると、動物を傷付ける事全てに反対するスターリングの方が世間知らずの困ったガキにしか見えないし、客に危害を加えかねない子熊(かなり成長してる)を射殺しようとしたホテル支配人の前に動物たちが集まり無言の懇願をするシーンは幼稚なファンタジーに見えてしまった。
動物同士が会話をする「ガンバ」や「ニルス」ならいいけど、名作劇場はリアリズムが売りだった筈だから、前身の「ハイジ」で高畑勲監督たちが切り開いた日常ドラマを少し逆戻りさせたような印象を受けた。支配人に「私が間違っていた」と言わせて大人の価値観を子供に合わせて変えさせて、諸問題に蓋をして動物と人間が仲良くする世界を肯定させるドラマ作りこそ「子供騙し」だと思うのだが、この作品が大ヒットしてアライグマがペットとして輸入され、それがラスカルとはかけ離れた野獣と分かるや山に捨てて殺しはしなかったと自分に言い聞かせ、地域住民が駆除に乗り出すと都会のラスカルファンがスターリング気取りで猛抗議電話をするなど、名作劇場の中でこれほど功罪の大きな作品は無いだろう。