怒り

去年の話題作「怒り」を観た。
序盤で犯人が逃亡した凶悪殺人事件が紹介され、同時期の日本の各所に居る、素性のはっきりしない3人の青年(逃亡中に顔を整形した事で、誰が犯人かすぐに解らなくした所は面白い)と、彼等と交流する社会的マイノリティーたちを写して行き、逃亡犯の正体とそれを知った少年、その逃亡犯に心を許したのに自分の凌辱を笑って見てた事に気付いた少女、そして別の場所で青年に捨てられたと思った頭の弱い女性、それぞれの怒りがクライマックスになっている(ただし妻夫木聡がメインのパートは彼の怒りで終わらないので、別の映画に見えてしまう)。
プロットがよく練られてるとは言えないし、マイノリティーへの共感を押し付けるような主要キャストの号泣と絶叫演技と、坂本龍一の感動を引き出そうとするスコアには辟易させられるが、力作ではある。でもこういう作品を観たあとに「君の名は。」をまた観たくなるのは、あの作品は観賞ストレスが殆ど無いからだ。