「カッティング・エッジ」をまた観たくなった

山本寛のブログを時々読むと、映画もかなり観てるんだろうけど、「映画の父」ルイ・リュミエールの「映画に未来はない」発言を、映画は芸術足りえないという趣旨で引用したのは、意味が違うと思った。
リュミエール兄弟がパリの日常風景を撮影して、スクリーンに映写する技術を生み出した事で「映画の父」と呼ばれるようになったのは有名だが、彼等が映画ビジネスに関わったのは、リュミエール協会を設立して、カメラマンに世界中の風景(日本も含む)を撮らせて上映した頃までで、日常風景の「動く写真」を観るブームはすぐに終わってしまい、兄弟は「映画」の特許を他社に売り渡してしまった。
リュミエール兄弟は、メリエスのようにトリック撮影や、そのテクニックを活かす為に古典的物語を映像化したり、アメリカのポーターのように、燃える家屋と救出に向かう消防士の映像を交互に見せる事で、映画独自の緊迫感が生まれる編集技術を発見した訳でもなく、映画が物語を伝える芸術(娯楽)媒体になる事は予見してなかったのだ。
だから映画の未来に悲観的な発言をした映画人の発言なら、別の誰かの言葉(ゴダールは「私が死ぬ時に映画も死ぬ」と言ったらしい)を引用するべきだった。