ダ・カーポと「地球へ(テラ)へ…」

ダ・カーポというフォーク・デュオは成人した娘さんもメンバーに加えて、現在も活動中だという。往年のヒット曲とどんな曲でもカバー出来るあの魅力的なヴォーカルで、一生コンサートで食べて行けるのだろう。年配の人にとってダ・カーポといえば「結婚するって本当ですか」だと思うが、私にとっては32年前に作られたアニメ映画「地球(テラ)へ…」の主題歌の印象が強い。特に好きなのはエンディングの「愛の惑星(プラネット)」で、曲自体もあの独特の声質も、私の中の「古き良き時代」を思い出させる定番アニメソングになっている(古き良き時代というのは個人の子供時代に他ならないと言ったのは宮崎駿である)。
「地球(テラ)へ…」という作品は、前年に大ヒットしたあの「銀河鉄道999」劇場版に続くSFアニメ映画として東映が選んだ、竹宮恵子のSF漫画を映画化した物で、監督が実写映画で活躍中だった恩地日出夫、キャストに志垣太郎、沖雅也とかなり力を入れた陣営だったが、「999」に比べて脚色による原作の圧縮化には失敗しており、私が「地球(テラ)へ…」に興味を持つきっかけになった作品とはいえ(最初に見たのは映画雑誌のスチール写真)、あとで原作漫画を読むと、その密度の違いは歴然としていた物だった。
それから20数年後にテレビアニメ化されると聞いた時は本当に驚いた。滅多にテレビアニメを観る事の無い私もこの時ばかりは心待ちにした。オンエアが始まると録画するのが楽しみで、中盤までは独自の解釈や重要キャラの生かし方(活かし方では無い)が上手く行っていて、かなり期待の持てる展開だった。しかし中盤からは予算の関係によるスケール感の欠如や、終盤の変更点に納得の行かなかった所が多く、映像化作品に対する私の期待はまた失望に終わった。ただオンエアから5年経った今なら気持ちも変わっているかもしれないので、1話から観直す価値はあるかもしれない。
今日でも重要課題であるエネルギー問題をテーマの一つに扱っているこの作品の完全な映像化を望むのは身勝手なファン心理に過ぎないのだが、映画とテレビで二度もアニメ化されたのは、原作者も言ってるように幸福な作品なのだろう。それこそ三度目を望むのは図々しいのかもしれない。