日本の黄金時代の終わり

ウィキペディアで「三船敏郎」の項目を読むと、日本だけに留まらない海外での知名度、世界中の映画人が向けた尊敬の眼差しなど、三船が日本人俳優の中でどれだけ桁が違う存在であったかを感じさせられる。彼は外人から見て理想的な「サムライ俳優」だったのだろう。彼の学者肌とは違う趣のある顔立ちは、何処かヒクソン・グレイシーに似ている。私は彼の大ファンという訳では無いが、自分の好きな俳優(高倉健松田優作)と三船が並んだ画を想像してみると、貫禄の違いというのは解る。悔しいのは今のハリウッドセレブに「好きな日本人俳優は?」と聞くと殆どが「ミフネ」と答える。そこまではいいが、中には「他に誰が居るの?」と答えた人間が居たらしい。高倉健を知らないのかと聞きたいが、知らないんだから仕方が無い。そして三船の死は翌年の黒澤の死と同様に、日本の黄金時代の一つの終わりにも例えられる。そして最後の映画スターの一人になった高倉健は去年80歳を越え、もう一人の吉永小百合のCMはシャープの経営危機で放映を終了するかもしれない。日本技術のかつての成功モデルと映画スターの黄昏を結び付けるのは強引な事では無い。