スピルバーグはリンカーンの何を描くのか

歴史は好きだが、毎日のように歴史ドラマや番組を観ている父親に比べれば私などは常にかじってる程度。戦国武将でも各地の有名な大名クラスの名前は言えるが、側近クラスになると誰が信長や秀吉に仕えていたのか分からない事が多いし、幕末の場合もナンバー2や3になると薩摩と長州と土佐の区別も付かない。歴史クイズに出たら、マニアの小学生にも負けるレベルだ。
そんな浅い知識レベルだから、アメリカ大統領のリンカーンについてのイメージも、黒人奴隷を解放した偉人というステレオタイプのイメージしか持っていなかった。ところがウィキってみると、リンカーンアメリカインディアンの組織的な虐殺を指揮していたというし、黒人奴隷も解放はしたが、人種的平等とは見なしていなかったというのだ。
スピルバーグが撮って来た歴史映画の中にはユダヤ人問題を扱った物と、黒人差別を扱った物がある。ユダヤ系の彼がなぜ黒人問題の映画に拘っているのかは知らないが(KKKを扱った映画は撮っていない)、最近映画ニュースで動向が伝えられる「リンカーン」はその集大成にするつもりらしい。「シンドラーのリスト」ではオスカー・シンドラーの未亡人から「綺麗事だ」と抗議されたというが、スピルバーグは「リンカーン」で彼のインディアン虐殺に触れるのだろうか。オスカー欲しさとアメリカ礼賛のつもりで作ったら、インディアン達の猛抗議でアカデミー授賞式の会場は却って混乱の渦に巻き込まれる可能性の方が高い。そうしたリスクよりも、黒人とアメリカインディアン双方のマイノリティの気持ちを汲み、興行的リスクを恐れないでリンカーンの所業を映像化して欲しい物だ。